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英国の税法

英国の税法

著者:虫明和子




プロフィール
税理士 東京都杉並区で会計事務所を営む。
著書 ドイツの住宅税制(共著)、争点相続税法(共著)、米国不動産投資(連載記事)他

書籍の内容
英国の付加価値税(消費税)を税法の条文に即して解説しており、他に類を見ない詳細さで具体的に判り、一通り読むだけでその仕組みが理解できる。インボイス方式とは何か、複数税率がどのように運用処理されているか、これで疑問が解決します。他に印紙税(不動産登録免許税、不動産取得税)、資本控除(減価償却)、不動産登記法なども解説。

(2007年2月12日発行 本文74ページ)

ISBN 978-4-903465-65-4




【本文一部紹介】

目次

Ⅰ 英国における税法の概要

Ⅱ 付加価値税
(1) 納税義務者
(2) 課税範囲
(3) 非課税範囲
(4) 課税時期
(5) 課税価額
(6) 税率
(7) 仕入に係る付加価値税の控除
(8) 特例
(9) 申告、納付、還付等
(10)帳簿等

Ⅲ 印紙税
(1) 背景
(2) 納税義務者
(3) 課税文書及び税率
(4) 非課税文書及び軽減項目
(5) 裁定と評価

Ⅳ 印紙税保留税
(1) 背景及び概略
(2) 課税取引及び税率

Ⅴ 不動産印紙税
(1) 課税物権
(2) 納税義務者
(3) 課税時期
(4) 特別な取引
(5) 課税標準と税率
(6) 減免規定
(7) 賃貸借

Ⅵ 不動産登記制度
(1) 不動産登記制度
(2) 登記に勝る権利
(3) 登記物権の範囲
(4) 所有権の保存登記

Ⅶ 資本控除制度
(1) 長期賃貸控除
(2) アパート改築控除



Ⅰ イギリスにおける税法の概要

イギリスの税金は国税が中心であり、主な国税は、直接税として所得税、法人税、キャ
ピタル・ゲイン税、相続税、間接税として、付加価値税、印紙税、関税などである。「CCH
P503」地方税は居住用不動産税(domestic rates)であるカウンシル・タックスと事業用
不動産税(non-domestic rates)であるビジネス・レーツとがある。この両税は地方自治体が
裁量できる主な歳入である。北アイルランドではカウンシル・タックスの代わりにビジネ
ス・レーツが課されている。

税金の包括的な管理は租税歳入局(Inland Revenue)が行っているが、納税者が直接の
やり取りを行うのは全国に散らばっている税務署と地方税務署である。税務署(Taxpayer
Service Office)は納税者への税務申告書の送付、納税者が提出した申告書の処理、単純な
間違いの修正、徴税、源泉徴収税、自営業者の所得税など得に個人の税金に関係する事務
を行う。地方税務署(Tax District Office)は大抵税務署と同区域内にあり、 税務署に対す
る補助、法人税、税務調査、更正、決定、徴税の強制執行などを行う。統合税務署(Integrated
Office)は前二種類の税務署を補佐する。租税照会センター(Tax Enquiry Centre)は照会
や相談に応じ、申告書や解説書を提供する。付加価値税の管理は関税局(Customs)が行
っているが、調査はVAT 税務署(VAT Business Centre) が行っている。最近では国税相
談所(National Advisory Service)が納税者の相談に応じている。

イギリスでは租税検査官(Inspector)が独自の情報により納税額を決定する賦課決定方式
を採用していたが、1993 年10 月から会社が提供した情報に基づき調査官が納税額を決定
する申告制度(Pay and File)が法人税に導入され、次いで1999 年7 月以降終了事業年度か
ら申告納税制度(Self-assessment)に移行した。所得税は1996 年4月から申告納税制度
(Self-assessment)が導入された。 申告納税制度は徐々に浸透してきたが、当局は納税者
が努力したにもかかわらず申告期限までの10ヶ月間に正確な数字を把握できなかった場
合は、仮の数字でもやむを得ないとして期限までの申告を優先しており、後日正確な数字
が把握された時に訂正するようにしている。

租税歳入局の納税者への対応は「納税者への奉仕義務 (Our Service Commitment to
You)」を目指しており、消費関税局とともに納税者権利章典(Charter for Inland Revenue
Taxpayers)を公布している。納税者が当局の職員、検査官などの態度に不満な場合は、税
務署などの統括、署長に苦情を述べることができ、さらには裁判に持ち出すこともできる。

もしくは、国会任命行政監察官(オンブズマン)に地元議員をとおして照会し、調査を行
うことができる。当局の誤りが認められたら、謝罪を要求することができる。

税法は国会制定法、政令、規則、欧州法、判例法から成り、税法の解釈は通達、租税歳
入局の内部通達など立法化されていないもので補助している。アメリカのような、予定さ
れている取引に対し税務当局から事前に非公式な合意(ruling)を得ることは、一般的に行わ
れていない。

納税者が検査官との間で合意に達しない場合、租税歳入局が決定するのでなく、納税者
は審判官に不服申立てをすることができる。それでも不満がある場合は上級裁判所、さら
に最高裁判所に上訴することができる。

キャピタル・ゲイン税と所得税の課税期間は4 月6 日から翌年4 月5日の査定年度つま
り課税年度により、法人税は4 月1 日から翌年3 月31 日の会計年度による。

※ 参考文献 CCH Tax Handbook2005-06 Commerce Clearing House
Pa10050,10060, EU 加盟国の税法 監査法人トーマツ 中央経済社 P62、Tax Guide
2002 The Daily Telegraph P1~2, 欧州主要国の税法 監査法人トーマツ 中央経済
社 P62


Ⅱ 付加価値税(Value Added Tax )

付加価値税(以下「VAT」とする)はイギリスが欧州経済共同体(EEC)に加入した直
後の1973年4 月1 日に導入された。現在、VAT は欧州連合(EC)加盟国に共通の税で
あるが、各加盟国で税率その他にかなりの格差が見られるためその統合が図られようとし
ている。

VAT は物品や役務の消費に課税され、最終的には末端消費者が負担するものであるが、
消費者に直接課税せず、事業者の物品譲渡や役務提供に対して課税される間接税である。
対価のあるものは全てVAT 税法上の売上となり、対価の無いものは例外を除き全てVAT 税
法上の売上にならない。

売上にはVAT の課税、非課税、対象外があり、課税売上の税率は標準税率17.5%、軽減
税率5%、及びゼロ税率がある。
課税事業者の自主申告により、課税期間内の売上に課したVAT の合計額から仕入に対し
て負担したVAT の合計額を控除した額がその事業者の納付税額となり、後者が前者を上回
る場合はその上回った額が還付される。 課税売上と非課税売上の両方がある場合は課税
売上に対応する仕入に係る税額のみが控除され、両方の売上に対応するものは仕入税額の
配分が行われる。

なお、VAT の計算は課税事業者の発行するインボイス(VAT 情報記載の売上代金請求書)
に基づいて行われ、免税業者はVAT を徴収しないのでインボイスを発行しない。また、免
税業者からの仕入にはVAT が加算されておらず、したがって仕入税額の控除も有り得ない。
インボイスには納税者番号、本体価額とVAT の額、発行者の住所、氏名、受領者の住所、
氏名の記載がある。

VAT 執行を規定する法は一つではなく、以下の規定から成り立っている。

・The Value Added Tax Act 1994 (VATA1994)

The Value Added Tax Act1983 とFinance Acts 改正法を一緒にしたもの。Part1
とSchedule に分かれ、Part1 はsection に分割されている。Schedule はparagraph と
Group に分かれ、さらにGroup はItem とNote に細分されている。


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